ショートカット(スマイレージシングル)の『とっぽい』は方言ではない
とっぽいとは?
スマイレージの4thシングル『ショートカット』の歌いだしから6小節目の歌詞に、『とっぽい』という言葉が使われています。
前髪もパッツリだぞ とっぽいショートカット
出典:曲名…ショートカット、作詞…つんく
歌を聴きながら、『とっぽい』=『かわいい』という意味の方言だろうと、なんとなく思っていました。
その理由は三つあります。一つは『とっぽい』という言葉の後に『ショートカット』と続くこと。もう一つは、この歌の主人公が小中学生くらいの恋する女の子だと想像できること。最後に、言葉からとぼけた印象を受けること。
ショートカットの女の子=かわいいという連想で、『とっぽい』を『かわいい』で解釈していたわけです。
しかし、今日になって何気なく、どこの方言なのかが気になり調べてみたら、全然違いました。
とっぽ・い [3]
きざで不良じみているさまを俗にいう語。 「 - ・い奴」 「 - ・い服装」
出典:三省堂 大辞林
まず、方言ではありませんでした。
また、こともあろうに、『きざ』『不良じみている』などと、『かわいい』とは似ても似つかない雰囲気の言葉が並び、ちょっとしたショックを受けます。また、歌詞をどう飲み込んでいいのか、見ただけではいまいちピンときません。
懲りずにさらに辞書を引きます。
き ざ [1] 【気障▽】
服装・態度やものの言い方などが気取っていて,いやみな・こと(さま)。 「 -な奴」 「 -なせりふ」
出典:三省堂 大辞林
き ど・る [0] 【気取る】
他人の目を意識して動作や表情を飾る。上品ぶる。もったいぶる。 「乙(おつ)に-・る」 「 - ・って歩く」
出典:三省堂 大辞林
これらを繋ぎ合わせたら、『他人の目を意識して服装・態度・動作・表情を飾る』。こんな感じかな?
恋する女の子が、気になる人(あいつ)を振り向かせるために、気になる人(あいつ)の視線を意識して、ショートカットにした。
調べたはいいものの、結局、『とっぽい』=『かわいい』でいいんじゃないの? と思いました。
とっぽいの意味通り考えるとしたら
この星を私色に 変えれそうな気がする
出典:曲名…ショートカット、作詞…つんく
これは、最初に引用した歌詞の続きです。
日本語俗語辞書によると、『とっぽい』には『生意気』という意味もあります。
直接「生意気」という意味で使われたこともある
気になる人がいるだけでここまで大きく出るのが、生意気っちゃ生意気なんだけど、いかにも子どもらしい単純な発想だなという感じで、やっぱり『かわいい』に落ち着くのでした。